非監査業務で明暗:3法人は6〜8割増、トーマツだけ−28%
公開日:2026/10/03 | 会計監査データベース運営事務局
この記事のポイント
- 2022→2026年の非監査売上はPwC+85.2%、EY新日本+80.4%、あずさ+63.5%、トーマツ−28.0%。
- PwCは2026年に非監査売上(523億円)が監査売上(468億円)を上回った。
- トーマツの減少は、2023年12月にリスクアドバイザリー事業本部の一部をグループ内の別会社へ移転した組織再編による(同法人の説明書類に記載)。
3法人は非監査業務が成長エンジンに
監査法人の売上は、財務諸表監査などの監査証明業務と、アドバイザリーやコンフォートレター作成などの非監査業務に分かれます。2022年から2026年にかけて、非監査売上はPwCで283億円から523億円へ+85.2%、EY新日本で+80.4%、あずさで+63.5%と大きく伸びました。同じ期間の監査売上の伸び(PwC+65.9%、EY新日本+16.6%、あずさ+24.1%)を大きく上回っています。
出典:各監査法人「業務及び財産の状況に関する説明書類」。トーマツは5月期、他は6月期。
PwCでは2026年に非監査売上が523億円となり、監査売上の468億円を上回りました。総売上に占める非監査売上の割合は、PwCが52.8%、あずさが28.4%、トーマツが26.6%、EY新日本が22.4%です。内部統制、サステナビリティ情報の開示・保証、IT・サイバー、規制対応など、監査の周辺領域への需要が広がっていることが背景にあるとみられます。
トーマツの減少は組織再編によるもの
トーマツだけは非監査売上が527億円から379億円へ−28.0%減少しています。ただしこれは事業の縮小を意味しません。同法人の説明書類によると、2023年12月1日付で、法人内のリスクアドバイザリー事業本部の一部の組織・機能を子会社のデロイト トーマツ リスクアドバイザリーに移転し、その後の資本関係の見直しにより、同社をデロイト トーマツ グループ内に並列する会社としています。この移転が通年で効いた2025年5月期に、トーマツの非監査売上は487億円から340億円へ、人員も8,096人から6,295人へ減っています。つまりトーマツは、非監査業務を監査法人の外(グループ会社)で伸ばす体制に切り替えたと読むのが自然です。
示唆:独立性とのバランスがより重要に
監査法人が非監査業務を拡大すると、監査先企業へのサービス提供が監査人の独立性を損なわないかという論点が強まります。トーマツの組織再編は、非監査業務を監査法人本体から切り離すことで、成長と独立性の管理を両立させる一つの形といえます。各社の有価証券報告書には、監査法人に支払った非監査報酬も開示されています。当サイトの企業別ランキングで指標を切り替えると、非監査報酬の大きい会社を確認できます。
関連データ:監査法人の業績(非監査売上・非監査会社数・1社あたり非監査売上の5年推移)
※ 本記事の数値は、金融庁EDINETの有価証券報告書、各監査法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」、日本公認会計士協会の公表資料をもとに本サイトが集計したものです(2026年10月時点)。会計年度(FY)は決算期末基準の4月始まりで表記しています。正確な内容は各一次資料をご確認ください。