監査法人の成長を支えるのは「公認会計士以外」の人材
公開日:2026/10/03 | 会計監査データベース運営事務局
この記事のポイント
- 2022→2026年の監査補助職員はEY新日本+76.3%、あずさ+51.4%、PwC+50.4%。
- 同じ期間の公認会計士はEY新日本+7.3%、あずさ+4.7%と1桁の伸び。トーマツは−7.7%。
- 平均給与は4法人とも16〜25%上昇。あずさの労働分配率は55.8%→61.1%と、人件費の伸びが売上を上回る。
増えているのは会計士ではなく監査補助職員
4大監査法人の説明書類に記載された人員構成を2022年と2026年で比べると、増加の中心は公認会計士ではありません。監査補助職員(データ分析や監査調書の作成支援などを担う、公認会計士・試験合格者以外の職員)は、EY新日本で849人から1,497人へ+76.3%、あずさで+51.4%、PwCで+50.4%増えました。これに対し公認会計士は、EY新日本+7.3%、あずさ+4.7%、PwC+19.3%にとどまります。
出典:各監査法人「業務及び財産の状況に関する説明書類」。トーマツは2023年12月のリスクアドバイザリー事業の一部移転の影響を含む。
公認会計士試験の合格者は近年増加していますが、監査法人の公認会計士の人数はそれほど増えていません。監査の工数が増え続ける中で、監査法人は会計士の採用だけに頼らず、補助職員の活用やデジタル化によって現場を回す体制へ移行しているとみられます。
平均給与は16〜25%上昇、人件費が利益を圧迫
平均給与=人件費÷期中平均人員。人件費はEY新日本・あずさ=報酬給与+賞与、トーマツ=報酬給与+賞与+賞与引当金繰入、PwC=報酬給与のみ(賞与を含まない)。
平均給与は、あずさが+25.2%、PwCが+24.7%、トーマツが+19.9%、EY新日本が+15.8%と、4法人とも大きく上昇しました。人材の獲得競争が激しくなっていることの表れです。売上に占める人件費の割合(労働分配率)は、あずさで55.8%から61.1%へ、EY新日本で53.7%から58.3%へ上昇しており、人件費の伸びが売上の伸びを上回っています。
労働分配率=人件費÷総売上。法人により人件費に含める範囲が異なるため、水準の単純比較はできません。
示唆:監査報酬の値上げは続く
人件費の上昇と工数の増加は、監査報酬の引き上げ圧力として企業側に跳ね返ります。別記事「大手監査法人は上場会社を減らし…」で見た1社あたり監査売上の上昇や、「上場企業の『大手離れ』」で見た報酬を理由とする監査人の交代は、こうした監査法人側のコスト構造の変化と一体の動きです。
関連データ:監査法人の業績(各法人の人員構成・平均給与・労働分配率の5年推移)
※ 本記事の数値は、金融庁EDINETの有価証券報告書、各監査法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」、日本公認会計士協会の公表資料をもとに本サイトが集計したものです(2026年10月時点)。会計年度(FY)は決算期末基準の4月始まりで表記しています。正確な内容は各一次資料をご確認ください。