日本の監査市場は3,637億円、会社の監査報酬は8年で40%増
公開日:2026/10/28 | 会計監査データベース運営事務局
この記事のポイント
- 2024年度の監査市場は、被監査会社等21,282、監査時間2,846万時間、監査報酬3,637億円(前年度比+5.1%)。
- 金商法・会社法の監査が報酬の90.0%を占め、2016年度から2024年度に報酬は+40.0%、監査時間は+26.5%、社数は+8.0%。
- 2024年度は監査時間が+1.0%にとどまる一方、時間単価が+4.2%上昇。工数の増加から単価の上昇へ、市場拡大の中身が変わりつつある。
監査市場の規模は3,637億円
上場企業の監査報酬は有価証券報告書で開示されますが、監査の対象は上場企業だけではありません。会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)、学校法人、信用金庫、投資事業組合、独立行政法人なども監査を受けています。日本公認会計士協会(JICPA)の「監査実施状況調査」によると、2024年度(本サイトの表記ではFY2025)の監査市場全体は、被監査会社等が21,282、監査時間が2,846万時間、監査報酬が3,637億円でした。前年度から報酬は5.1%増えています。
出典:日本公認会計士協会「監査実施状況調査」。年度は調査の年度(4月〜翌年3月期)。「その他」は調査で区分が追加された分野を含む。
成長の中心は会社の監査
報酬の90.0%は、上場企業等の金融商品取引法監査と、大会社の会社法監査が占めています。この2つを2016年度と比べると、社数の増加は8.0%にとどまる一方、監査時間は26.5%、監査報酬は40.0%増えました。1社あたりの報酬は、金商法監査(連結)で4,847万円から6,088万円へ、会社法監査で1,140万円から1,625万円へ上がっています。会社の数ではなく、1社あたりの監査の手間と報酬が市場を押し上げてきたことになります。
| 区分 | 社数 2016年度 | 社数 2024年度 | 社数の増減 | 報酬 2024年度 | 報酬の増減 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金商法(連) | 3,253 | 3,499 | +7.6% | 2,130億円 | +35.1% |
| 会社法 | 5,698 | 6,160 | +8.1% | 1,001億円 | +54.2% |
| 金商法(個) | 648 | 705 | +8.8% | 144億円 | +26.3% |
| 学校法人 | 5,291 | 4,130 | −21.9% | 86億円 | −2.2% |
| 信金等 | 363 | 346 | −4.7% | 46億円 | +18.2% |
| 投資事業組合 | 757 | 1,696 | +124.0% | 25億円 | +231.8% |
| 特定目的会社 | 424 | 786 | +85.4% | 17億円 | +204.0% |
| 教育保育施設 | 738 | 1,592 | +115.7% | 10億円 | +133.9% |
会社以外では、学校法人が5,291から4,130に減った一方、投資事業組合(757→1,696)や教育・保育施設(738→1,592)は2倍以上になりました。ただし報酬の規模は小さく、市場全体への影響は限られます。
2024年度は「時間」より「単価」が伸びた
金商法・会社法監査の時間単価(報酬÷監査時間)は、2016年度の11,586円から2023年度の12,299円まで緩やかな上昇でしたが、2024年度は12,818円と1年で4.2%上がりました。同じ年の監査時間は+1.0%で、これまで市場を広げてきた工数の増加は一服しています。
時間単価=監査報酬÷監査時間(金商法〔連結・個別〕と会社法の合計)。
示唆:人件費の上昇が価格に反映され始めた
監査法人では初任給や平均給与の引き上げが続いており(「監査法人の初任給と人件費」参照)、時間単価の上昇はその価格転嫁と考えられます。監査時間が伸び悩むなかで報酬が増え続けるかは、監査の品質と効率化の両立にかかっています。年度別・区分別の数値は全体の監査市場のページで確認できます。
関連データ:全体の監査市場/上場企業の監査報酬市場
※ 本記事の数値は、金融庁EDINETの有価証券報告書、各監査法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」、日本公認会計士協会の公表資料をもとに本サイトが集計したものです。会計年度(FY)は決算期末基準の4月始まりで表記しています。正確な内容は各一次資料をご確認ください。