公認会計士試験の受験者は10年で2.3倍、合格者の伸びは追いつかず「短答式」が狭き門に
公開日:2026/10/14 | 会計監査データベース運営事務局
この記事のポイント
- 短答式の受験者(第Ⅰ回・第Ⅱ回の合計)は2016年10,219人→2026年23,635人(+131.3%)。合格者は+67.9%にとどまり、合格率は14.7%→10.7%に低下。
- 論文式の合格率(受験者に対する計算値)は2016年35.3%、2025年35.1%とほぼ一定。願書提出者に対する最終合格率は10.8%→7.4%に下がった。
- 論文式の合格者は1,108人→1,636人と約1.5倍。公認会計士の登録者数は2017年末30,316人→2026年末38,612人に増えており、合格者増の効果は修了考査を経て数年遅れで表れる。
受験者は倍増、合格者は1.7倍
公認会計士試験の第一段階である短答式試験は、毎年12月(第Ⅰ回)と5月(第Ⅱ回)の2回実施されます。2回分の受験者(答案提出者)を合計すると、2016年の10,219人から2026年は23,635人へと+131.3%増えました。とくに2022年以降の増加が急で、2021年までの1万人前後から2万人台に乗っています。
一方、合格者は1,501人から2,520人へ+67.9%の増加にとどまりました。その結果、合格者÷受験者で計算した合格率は14.7%から10.7%に下がっています。新型コロナの影響で1回だけの実施となった2021年は、合格率が21.6%と例外的に高くなりました。
出典:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験の合格発表」。合格率は本サイトの計算値。
合格点は上がり、短答式でふるい分ける構造に
短答式の合格基準は「総点数の70%を基準として、審査会が相当と認めた得点比率」とされ、実際の合格点は回ごとに変わります。2016年は67%・66%でしたが、2024年は75%・78%、2026年は75%・70%と高い水準が続いています。受験者が増えても合格者数を大きく増やさず、合格点を引き上げて調整していると読み取れます。
これに対して論文式試験は、受験者が3,138人から4,665人に増えるなかでも、合格率(受験者に対する計算値)は35.3%から35.1%と35%前後で安定しています。合格点(得点比率)も52%前後で大きく動いていません。受験者増によるふるい分けは、ほぼ短答式が担っていることになります。
| 2016年 | 2025年 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 短答式 受験者 | 10,219 | 23,463 | +129.6% |
| 短答式 合格者 | 1,501 | 2,409 | +60.5% |
| 論文式 受験者 | 3,138 | 4,665 | +48.7% |
| 論文式 合格者 | 1,108 | 1,636 | +47.7% |
| 願書提出者(試験全体) | 10,256 | 22,056 | +115.1% |
※ 論文式の比較は2016年と2025年(2026年の論文式は合格発表前)。短答式も比較をそろえるため2025年の値を掲載。
示唆:会計士の供給は増えるが、効果は数年遅れ
論文式の合格者は10年で約1.5倍に増えました。合格者は監査法人などで実務経験を積み、実務補習を経て修了考査に合格すると公認会計士として登録できます。日本公認会計士協会の会員統計では、公認会計士は2017年末の30,316人から2026年末には38,612人に増えていますが、2022年以降の合格者増が登録者数に反映されるのは2020年代後半です。人手不足が続く監査法人にとって、合格者の増加は採用面の追い風になる一方、受験者側から見ると短答式の難化が続いており、受験の長期化につながる可能性があります。各試験の年次データは公認会計士試験のページで確認できます。
関連データ:公認会計士試験(短答式)/論文式試験/修了考査/会員及び準会員数
※ 本記事の数値は、金融庁EDINETの有価証券報告書、各監査法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」、日本公認会計士協会の公表資料をもとに本サイトが集計したものです。会計年度(FY)は決算期末基準の4月始まりで表記しています。正確な内容は各一次資料をご確認ください。