監査法人の初任給は10年で約2割上昇、2026年からの引き上げが加速
公開日:2026/10/22 | 会計監査データベース運営事務局
この記事のポイント
- あずさ・トーマツ・EY新日本の初任給は2017年入所305,000円→2027年入所365,000円(+19.7%)。2020〜2025年は据え置きで、2026年・2027年に2年連続で引き上げ。
- PwCは月30時間分の時間外勤務手当を含む金額で367,700円→420,300円(+14.3%)。3法人との差は62,700円から55,300円に縮小。
- 平均給与は2022年から2026年に4法人とも16〜25%上昇。あずさの労働分配率は55.8%→61.1%、EY新日本は53.7%→58.3%に上がった。
3法人は同額で推移、引き上げは2020年と2026・2027年
4大監査法人の初任給(月額)を、各法人の採用情報などから2017年2月入所から2027年2月入所まで集めました。あずさ・トーマツ・EY新日本の3法人は、この11年間ずっと同じ金額です。2017年入所の305,000円が、2027年入所では365,000円になり、上昇率は+19.7%です。
引き上げのタイミングは2020年(305,000円→320,000円)、2026年(320,000円→350,000円)、2027年(350,000円→365,000円)の3回です。2020年から2025年までの6年間は据え置かれていましたが、2026年に3万円、2027年に1万5,000円と、2年続けて引き上げられました。
入所年(2月入所)ごとの月額。
PwCは月30時間分の時間外勤務手当を含む金額を公表しているため、単純には比較できません。それでも367,700円から420,300円への上昇率は+14.3%で、3法人との差は62,700円から55,300円に縮まりました。
初任給以上に上がっている平均給与
各法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」から計算した平均給与(報酬給与と賞与を期中平均人員で割った値)は、2022年から2026年までの4年間で4法人とも大きく上がっています。あずさは992万円から1,243万円へ+25.2%、トーマツは+19.9%、PwCは+24.7%、EY新日本は+15.8%です。
| 監査法人 | 平均給与 2022年 | 平均給与 2026年 | 平均給与の増減 | 総売上の増減 | 労働分配率 |
|---|---|---|---|---|---|
| EY新日本 | 1,016万円 | 1,176万円 | +15.8% | +26.7% | 53.7%→58.3% |
| あずさ | 992万円 | 1,243万円 | +25.2% | +33.2% | 55.8%→61.1% |
| トーマツ | 1,044万円 | 1,252万円 | +19.9% | +2.7% | 54.0%→55.2% |
| PwC | 1,026万円 | 1,279万円 | +24.7% | +75.5% | 53.0%→48.0% |
※ トーマツは5月期、他は6月期。PwCは賞与を区分開示していないため報酬給与のみで計算しており、他法人との単純比較はできません。労働分配率=人件費÷総売上(法人ごとの定義は監査法人の業績を参照)。
人件費の伸びが売上の伸びを上回った法人では、売上に占める人件費の割合(労働分配率)が上がっています。あずさは55.8%から61.1%へ、EY新日本は53.7%から58.3%へ上昇しました。一方、PwCは非監査業務を中心に売上が+75.5%伸びたため、労働分配率は53.0%から48.0%に下がっています。
示唆:人材獲得競争が監査報酬に跳ね返る
公認会計士試験の合格者は増えていますが(「公認会計士試験の受験者は10年で2.3倍」参照)、監査法人は事業会社やコンサルティング会社とも人材を取り合っており、初任給の2年連続の引き上げはその表れといえます。監査は人が時間をかけて行う業務のため、人件費の上昇はそのまま監査報酬の値上げ圧力になります。大手監査法人が1社あたりの報酬を引き上げている背景の一つは、こうした人件費の上昇だと考えられます。初任給の年次データは初任給の推移のページで確認できます。
※ 本記事の数値は、金融庁EDINETの有価証券報告書、各監査法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」、日本公認会計士協会の公表資料をもとに本サイトが集計したものです。会計年度(FY)は決算期末基準の4月始まりで表記しています。正確な内容は各一次資料をご確認ください。