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業種で大きく違う監査報酬:1社平均は銀行3億円、情報・通信は7,000万円台

公開日:2026/10/19 | 会計監査データベース運営事務局

この記事のポイント

  • FY2026の監査報酬の合計が最も大きい業種は情報・通信業(448.8億円、613社)。ただし1社平均は73百万円で、全業種平均(89百万円)を下回る。
  • 社数20社以上の業種で1社平均が最も高いのは銀行業(308百万円)、次いで証券、商品先物取引業(191百万円)。最も低い倉庫・運輸関連(42百万円)との差は約7倍。
  • 大手4法人の報酬シェアは銀行業で99.1%に達する一方、金属製品は62.7%、サービス業は66.1%と低く、中堅・中小監査法人の存在感が大きい。

監査報酬の総額が大きいのは情報・通信と電気機器

FY2026(2025年4月〜2026年3月期決算)の有価証券報告書に記載された監査報酬(監査証明業務、提出会社+連結子会社)を、東証33業種別に合計しました。総額が最も大きいのは情報・通信業の448.8億円で、以下電気機器(350.8億円)、サービス業(283.7億円)、卸売業(274.9億円)と続きます。上位の業種は、いずれも上場会社の数が多い業種です。

ところが1社あたりで見ると順位は大きく変わります。情報・通信業は613社と最も社数が多い一方、1社平均は73百万円で、上場企業全体の平均(89百万円)を下回ります。新興企業や中小規模の会社が多いためです。

1社あたりの平均監査報酬(FY2026、百万円、社数20社以上の業種)
銀行業308百万円証券、商品先物取引業191百万円陸運業164百万円電気・ガス業159百万円その他金融業154百万円電気機器153百万円輸送用機器146百万円非鉄金属129百万円鉄鋼106百万円化学104百万円

出典:各社の有価証券報告書(EDINET)から本サイトが集計。誤記の疑いがある行は除外。

金融とインフラは「1社平均」が高い

社数が20社以上の業種で1社平均が最も高いのは銀行業(308百万円)で、証券、商品先物取引業(191百万円)、陸運業(164百万円)、電気・ガス業(159百万円)が続きます。金融機関は資産規模が大きく、貸出金の評価や金融商品の時価評価、規制対応など監査の論点が多いため、報酬が高くなりやすい業種です。社数が少ないため上の図には入れていませんが、保険業(15社)の1社平均は563百万円と全業種で最も高い水準です。

反対に、1社平均が低いのは倉庫・運輸関連(42百万円)、金属製品(50百万円)、サービス業(50百万円)などで、高い業種とは約7倍の差があります。

大手4法人のシェアは業種で6割台〜9割超

4大監査法人(トーマツ・あずさ・EY新日本・PwC)が受け取る報酬のシェアも、業種によって大きく異なります。銀行業では99.1%、電気・ガス業では97.3%と、ほぼ大手4法人が独占しています。一方、金属製品(62.7%)、サービス業(66.1%)、その他製品(67.4%)では、中堅・中小の監査法人が3割以上を占めています。

業種社数監査報酬合計(億円)1社平均(百万円)大手4法人の報酬シェア非監査報酬の比率
情報・通信業613448.87381.2%6.6%
電気機器229350.815391.6%2.5%
サービス業562283.75066.1%3.1%
卸売業305274.99084.6%3.0%
銀行業83255.330899.1%6.9%
化学201209.410490.9%2.0%
小売業328206.96374.5%2.0%
機械213151.97178.8%4.7%
輸送用機器81118.414690.6%3.9%
食料品125105.58486.2%5.8%
陸運業6199.916496.3%4.4%
建設業14894.86471.2%3.9%

※ 監査報酬合計の上位12業種。非監査報酬の比率=非監査報酬÷監査報酬。全33業種は業種別ランキングに掲載しています。

示唆:監査人の交代が起きやすいのは「低単価・大手シェア低め」の業種

大手監査法人が担当会社を絞り込む流れは、1社あたりの報酬が低く、もともと大手のシェアが低い業種でとくに強く表れると考えられます。情報・通信業やサービス業は上場会社の数が多く、新規上場も続いているため、中堅・中小監査法人の受け皿としての役割は今後さらに大きくなりそうです。監査人の交代の動きは「上場企業の『大手離れ』」、大手の戦略は「大手監査法人は上場会社を減らし、1社あたりの報酬を上げている」で分析しています。

関連データ:業種別ランキング/企業別ランキング/監査法人ランキング

※ 本記事の数値は、金融庁EDINETの有価証券報告書、各監査法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」、日本公認会計士協会の公表資料をもとに本サイトが集計したものです。会計年度(FY)は決算期末基準の4月始まりで表記しています。正確な内容は各一次資料をご確認ください。

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